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Channel: 晴乗雨読な休日
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宮本輝 『地の星』

『地の星』は、「流転の海」シリーズの第2部、前作では 愛媛から大阪へ出た松坂熊吾が、一代で大きな会社を築き あげ、房江という女性と結婚し、戦争で故郷の愛媛に引っ 込み、終戦をむかえてふたたび大阪へ戻って、戦後のゴタ ゴタの中を奔走、伸仁という子供を50歳でさずかって、 さあ、これから、というときに、病弱の子供を心配し、故郷 の愛媛に戻るぞ、というところまで。...

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ディーン・R・クーンツ 『ウィスパーズ』

文春文庫の青い背表紙のクーンツ作品は、大ヒットして映画化されたり、 クーンツファンでも、一番の名作に挙げる作品が多いのですが、あとがき を読んだりすると、それ以前にハヤカワなどから日本国内で翻訳出版され た作品のなかに、「ファントム」と、この『ウィスパーズ』が、傑作、こ れでクーンツはそれまでのB級ホラーから一段階ステップアップのきっか けになった、と説明されているのです。...

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海堂尊 『ブラックペアン1988』

この作品は「チームバチスタの栄光」から続いている、東城医大病院 の勤務医、田口と、厚生労働省の白鳥が主軸となるシリーズものから のスピンオフ的な内容で、「バチスタ」シリーズでは、東城医大病院 の院長である高階が、ここではまだ肩書きは「講師」で、高階はこの 病院にとんでもない”モノ”を持ち込んで、それがちょっとした騒動 から大問題に発展し・・・といった具合。...

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高村薫 『黄金を抱いて飛べ』

高村薫の作品を読むのは久しぶりです。たしか、前に読んだ のは「リヴィエラを撃て」だったと思います。 「マークスの山」や「レディー・ジョーカー」など、初期の 名作は今でもしっかりとストーリーを思い出すことができま すね。この『黄金を抱いて飛べ』はデビュー作で、日本推理 サスペンス大賞の受賞作。 物語は、かんたんにいうと、幸田と北川という大学時代の...

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伊集院静 『瑠璃を見たひと』

伊集院静さんの作品は、まだ直木賞受賞作の「受け月」しか 読んだことがなく、作家としてというよりは、故・夏目雅子 さんと結婚して、そのあとに篠ひろ子さんと再婚したという ワイドショーで得たプロフィールしか知らず、あとは、たしか 麻雀が上手い、というくらいですか。 それはさておき、この『瑠璃を見たひと』という作品、いち おう裏表紙のあらすじには「冒険ファンタジー」とあります...

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北村薫 『スキップ』

この『スキップ』と、「リセット」「ターン」を合わせて 「時と人」3部作というそうで、リセットとターンは先に 読んでしまい、それから2年か3年越しで、だいぶ間をあ けて、ようやく3部作の読了と相成りました。 というか、この3部作でいちばんはじめに書かれたのが 『スキップ』なんだと知って、相変わらず順番バラバラ。 千葉県の海沿いの町に住む真理子。地元の女子高に通う...

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馳星周 『虚(うつろ)の王』

馳星周の作品を読み終わるたびいつも思うことは、また読んでし まった・・・という軽い後悔といいますか、しかし不思議なもの で、読んでる最中はぐいぐいと文中に引きつけられて、気がつく と、また作品を手にして、読んで、軽く後悔、というスパイラル。 たんなる「不愉快な内容」というだけでなく、そこにはきちんとし た時代と背景が描かれていて、今まで読んだ作品に共通する、主人...

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乃南アサ 『鍵』

乃南アサの作品を読むのは、直木賞受賞作の「凍える牙」以来 2作目でして、この作家さんの特徴みたいなものはよく掴めて いないのですが、まあひとつ言えるのは、昔こそ“女流作家” というカテゴリーは確かにあったとは思いますが、もはや男女 による違いというのは無いのではないかと、乃南アサや高村薫 、服部真澄などを読むたびにそう感じるわけであります。 さて、この『鍵』という作品、まずタイトルのシンプルさから...

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夢枕獏 『陰陽師』

今さらですが。まだ読んでなかったもので、前から 気にはなっていました。 まあ、説明も特に必要ないくらい、映画も大ヒット したことですし、陰陽道もブームになりましたから、 安倍晴明について、ちょこっと説明しますと、平安 時代のけっこう位の高かった貴族、いや、貴族かど うか微妙なポジションで、この当時は妖怪のたぐい が実在していると真剣に信じられていた時代で、い...

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大沢在昌 『新宿鮫』

大沢在昌といえば、宮部みゆきファンにとっては同じ事務所の 先輩作家ですね。でもなぜか今まで作品はスルーしてきました。 たいした理由ではないのですが、この『新宿鮫』シリーズはけっ こう出てまして、なかなか第1弾に出会えなかった、というこ とで、たまたま本屋にブラッと入っていったら、お目当ての第 1弾があったので、よし、買おう、と。 警視庁の所轄内で1,2を争う過酷な現場、新宿署の刑事、鮫島。...

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ゲーテ 『若きウェルテルの悩み』

手塚治虫先生の「火の鳥」未来編で、猿田博士が人造生物を作 ろうとして培養液の中でサルとヒトの中間みたいな生物ブラド べリィが、この本を読んでいました。しかしブラドべリィは培 養液の外に出るとたちまち泡となって死んでしまい、そのとき 猿田博士は「わしも若い頃これを読んで情熱をかきたてたもん じゃ」そういったことを呟くのです。 という記憶が片隅にあって、いつか読もういつか読もうと思い...

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宮本輝 『血脈の火』

この作品は「流転の海」シリーズ第3部で、愛媛の漁村から 大阪に出て、一代で大きな会社を創業した松坂熊吾を中心と して、茶屋で働いていた房江と結婚し、戦時中は一時、愛媛 に戻り、熊吾は50歳にして伸仁という子宝に恵まれ、戦後 にふたたび大阪で会社を立ち上げるも、病弱な妻と子が心配 で、愛媛にまた戻る、というところまでが第1部で、第2部 「地の星」では、愛媛での熊吾一家の、親戚や村の人々との...

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黒井千次 『春の道標』

本屋さんへ行って、これといって目当ての欲しい作品が無く、 かといって何か読みたいからなあ、と選ぶ「基準」は、まずは 作家の名前。まあ一度でも耳にしたことがあれば、つまりそ れだけ話題になっている(インタビューだったり原作の映像化 だったり)ということで。他にも、帯で○○氏絶賛!という 推薦。 この『春の道標』という作品名も、作家の名前も、申し訳ない...

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野沢尚 『深紅』

野沢尚の作品は、出版された順こそバラバラですが、けっこう 読んでます。ちなみに初期の「恋愛時代」は、今までに読んだ 恋愛小説の中でナンバーワン。 それはそうと、この『深紅』は、吉川英治文学新人賞を受賞した のですが、選考では、前半の盛り上がりに比べて後半のが弱い、 という指摘があったそうですが、なるほど読んでみると、その感 は否めないんですけど、読み終わってみると、これはこれで絶妙...

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山本一力 『深川駕籠』

もともと、好んで歴史小説を読んでるわけでもないのですが、 傾向としては、教科書に出てくるような有名人(主に武士)よ りは、市井の人々が主人公の作品が好きだったりします。 そんな中、山本一力の作品は、まさに江戸の下町に暮らす 庶民を描き、今までに読んだものでは「あかね空」は上方 から江戸にやって来た豆腐屋、「損料屋喜八郎始末控え」 では、家具や調理器具といった生活用品のレンタルを舞台に、...

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杉本苑子 『冥府回廊』

まったく不勉強で恥ずかしい限りですが、この杉本苑子という 作家を存じ上げませんでした。 「孤愁の岸」で直木賞受賞、「滝沢馬琴」で吉川英治文学賞受賞 、さらにこの『冥府回廊』は、NHK大河ドラマ「春の波涛」の 原作ということです。 福沢諭吉の次女房子と、その娘婿、桃介を中心に、明治から昭和に かけての活躍を描いた作品で、『冥府回廊』の前に書かれた「マダム...

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浅田次郎 『日輪の遺産』

浅田次郎の作品はどれもこれも面白いのですが、中でも 好きなのが「きんぴか」と「蒼穹の昴」のふたつ。 「きんぴか」は、元ヤクザと元自衛隊員と元官僚という チグハグな3人が、世話好きの刑事に集められて、ちょ っとした(世の中に復讐)をする、まあコメディーのよ うな。 そして「蒼穹の昴」は、西大后の時代の清朝末期、科挙 と宦官の出世と、この時代の清国を取り巻く情勢を描い た一大スペクタクル時代小説。...

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チャールズ・ディケンズ 『オリバー・ツイスト』

去年か一昨年でしたか、古本屋をウロウロしていたら、ディケンズの 『オリバー・ツイスト』が棚にあったので、ちょうどその頃、漱石に ハマっていて、英国留学時代に影響を受けた作家ということで興味が あり、これはラッキーと、確認もせずに文庫で上下巻買ったつもりが、 見てみたら上巻が2冊。 店員も「これ、上巻2冊ですけどよろしいですか」の一言くらいあって...

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服部真澄 『GMO』

何の作品か忘れてしまいましたが、故・児玉清さんが、服部真澄 と真保裕一の作品は海外に“輸出”すべき、みたいなことを書いて いて、それはもう、強く肯きました。 この『GMO』も、アメリカ北東部、南米と、服部真澄作品では お馴染みの海外が舞台で、主役は日本人。海外を舞台にする理由 としては、例えばCIAといった諜報機関が、まあ日本にもある にはあるのですが、どうにも馴染みが薄く、そういった「怪しげ」...

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パトリシア・コーンウェル 『業火』

バージニア州の検屍局長、ケイ・スカーぺッタのシリーズ9作目『業火』 では、シリーズ5作目から出てきた殺人鬼ゴールトと、そのパートナー、 キャリー・グレセンとの最終対決になります。 いちおう前作ではゴールトはニューヨークで追い詰められ、地下鉄に轢か れて死亡、キャリーも逮捕されますが、死刑にはならず、犯罪者精神医学 センターという施設に入れられます。...

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